2016/08/31 カテゴリ:ブログ

ニューロフィードバックの講習会を受けても臨床現場で役に立たない理由②

ニューロフィードバックバイオフィードバックサイバーヨガ

 


 

前回の続きです.

 

ニューロフィードバックで取り組まれている分析方法は主にQEEG呼ばれる19チャンネルの脳波電極を取り付けた脳のマッピングです.
 

QEEG ニューロフィードバック

 

これは脳波の異常値を検出する方法としては優れていますが,その値から精神分析をするとなると少し理論の飛躍となってしまいます.

 

精神分析に関しては,出てきたデータに対する解釈が専門家によって大きく異なります

 

ニューロフィードバックは,発展途上の新しい分野であり,様々な協会があり,様々な資格があります.

 

問題は,協会ごとに考えが異なり,理論がまだ統一されていないという点です.

 

それでは,再現性が問われる科学としては少し弱いと言わざるを得ません.

 

再度明記しますが,QEEGによる分析はそれ自体は全く問題ありません.

 

脳波の周波数分析としてはとても良いものだと思います.

 

しかし,その脳波の値から精神分析するには理論的に無理があるということです.

 

現段階で脳波と精神に関連することで分かっていることは,てんかんや,ADHDを除くと,脳の覚醒レベルぐらいではないでしょうか?

 

脳が興奮しているのか?落ちついているのか?集中しているのか?注意散漫なのか?

 

という具合にです.

 

QEEGデータから精神分析を行わず,純粋に脳波の値が高いか低いかということでしたらOKだと思います.

 

脳全体からどの部分の脳波が異常な値を示しているのかが分かりやすく表示されるからです.

 

しかしこのQEEGによるデータをそのままトレーニングに臨床応用させるにはかなり無理があるといえます.

 

例えば,左側頭部のシータ波のパワーが標準値より高いなどの異常値が検出された場合,

 

その左側頭部のシータ波の値だけをどうやってピンポイントでニューロフィードバックのトレーニングによって下げることができるのでしょうか?

 

そこに電極をつけてトレーニングをすればいいだけでしょ?と思われそうですが,それでは不十分です.

 

なぜならその方法では,左側頭部だけでなく,他の部分のシータ波の値も一緒に下がってしまう可能性があるからです.

 

あくまでも異常な値を示している部分だけを下げないと,他の正常値だった値が逆にシータ波が下がりすぎて異常値となってしまうからです.

 

左側頭部だけ下げられるトレーニングが必要なのです.

 

分析時と同じように19チャンネルのセンサーを取り付け,左側頭部のシータ波だけを下げさせるトレーニングプログラムが必要なのです.

 

脳全体から一部分のみの脳波をコントロールするのは至難の業です.

 

データをトレーニングにうまく有効活用できないので,私はQEEGを分析方法として採用していません.

 

分析だけして,それをトレーニングに活かせなければ何の意味もないからです.

 

非常に単純明快な理由です.

 

現在では,「Live Z-Score Training(LZT)」と呼ばれる最新ソフトウェアを活用したトレーニングも出てきています.

 

自分の脳全体の脳波の値を何千人もの脳波のデータベースの値を基準とし,高いか低いかを瞬時に計測し,基準値に近づけるトレーニングです.

 

以前は,2つか4つの電極をつけて行うものでしたが,現在ではQEEGと併用して脳全体で行うようになってきています.

 

さらにLORETA解析と呼ばれる解析法により三次元的な分析及びトレーニングも可能になってきています.

 

こうした最新技術を使えば,1つの箇所のシータを下げるトレーニングをしているときに他のエリアはどうなっているのかがリアルタイムで確認できます.

 

理論上は素晴らしい技術です.

 

しかし,実際の臨床現場ではやはり困難を極めるトレーニングのようです.

 

やはり他のエリアの脳波の値を下げず,一カ所だけ下げたり,値を正すのは至難の業だということです.

 

さらに19カ所に電極をつけますから取り付け時間に時間を要し,これは施術する側の負担だけでなく,

 

クライエント側の待ち時間に対するストレスが増加することが明らかになってきています.

 

このように理論と実践の間にはいくつもの開きがあるのです.

 

要はこうした最新のトレーニングに関しては,トレーナーが研究と臨床の両方の分野に明るくないと,様々な情報に振り回されることになるリスクが潜んでいるので注意が必要です.

 


 

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