認知能力とは?

 

スポーツなどでは,よく目がいいとか,動体視力が重要だなどといわれるが,実際はそう単純ではない.

巷にある速読トレーニングで速いボールが打てるようになるというものでもない.

 

そうした速読の能力とスポーツ上必要となる目の働きは異なるのである.

 

ヒトの目の構造と働きは非常に複雑で,相手の動きを的確に捉えるには目の中心部よりも周辺視が需要視されている.

 

さらに野球でいえば,バッターがボールを視覚で捉え,その後に一瞬でストライクかボールの判断,つまりバットを振るか?振らないのか?

 

の判断に迫られる.

 

バッターがストライクと判断して,脳から腕に命令するまでの到達時間を考えると,このボールを捉えてから行動の選択にはわずか約0.2秒しかない.

 

速読トレーニングで一般の人がバッティングセンターで速球を打てるようになるといった動画などが挙げられているが,

 

そうしたトレーニングを積まなくとも,バッティングセンターに通っていれば誰でも打てるようになる.

 

では,なぜプロの野球選手は打率が3割を越えるだけで素晴らしいとされるのか?

 

それは,バッティングセンターのように毎回同じ位置とスピードで球が飛んでこないからである.

 

つまり,どの球にも反応する,振るだけで良いというのであれば,誰でも打てるようになるのだが,実際の野球では,変化球もあるが,ボール球のように振ってはいけない球も飛んでくる.

 

バットを振るなどのヒトの行動は前頭前皮質によって指令が下されるが,振るのを止めようと行動を抑えるのもまた同じ前頭前皮質なのである.

 

これが人の判断を大きく送らせる,つまり打率を下げる要因なのである.

 

こうした能力を「Go/NoGo」呼ぶ.

 

この能力を高めるには,視覚に入ってきた対象をしっかり認識し,それを踏まえてどういう指令を筋肉に送るか,という一連の脳内プロセスを鍛える必要がある.

 

ただ光の点滅に反応するような動体視力トレーニングには,この対象物に対する認知,判断というプロセスが欠落しているので

 

当然,それだけではスポーツには役に立たないという訳なのである.

 

この能力を高める最適プログラム