年末年始の営業時間は以下の通りになります.
12/29~1/3までお休みさせていただき,1/4から通常営業となります.
何卒宜しくお願い致します.
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先日,茨城県東海村にある国立研究開発法人「日本原子力研究開発機構・核燃料サイクル工学研究所」様にてストレスケアに関する講演をさせていただきました.
講演会では,労務担当の皆様および,産業医の友常先生には大変お世話になりました.
当日は,約30名の現地職員の皆様と,Zoomにて200名前後の職員の皆様にご参加いただき,自分でできるストレスケアに関する理論と実践の情報を共有させていただきました.
当日の内容は,メンタルやストレスに関する講義に9割,実践は1割という時間配分で,具体的には,ストレスに関する生理学,メンタルトレーニングの歴史や現状,問題点,
呼吸と自律神経,扁桃体の特性とマインドフルネス,セルフケアの重要性と実践,といった流れでした.
漠然とストレッチや呼吸法で気持ち良くなってもらうのも体験型のワークショップとしては良いとは思うのですが,
それは既にどこでもやられていますし,一般の方が理論を学べる機会というのは実はあまりないと思っています.
そこで,自分が専門とする精神生理学に基づいた座学多めの内容とさせていただきました.
このストレス社会において,自分でできるストレス対処法,セルフケアは重要なウェイトを占めてくるといえます.
それには,理論が大事で,正しい理論に基づいて,呼吸法やヨガ,瞑想を行わないと,うまくストレスの緩和が行えた日と,そうでない日と,どうしても,ばらつきが出てきてしまうからです.
経験が長い方は問題ないですが,はじめのうちは感覚だけを頼りにやってしまうと,再現性が低くなってしまいます.
逆にきちんとした理論を持ち合わせていれば,フィットネス系のヨガを受講したとしてもメンタル面に効果が出るように自分自身でアレンジできるようになります.
………
呼吸について考えた時,常に思うのが,日本に多い「呼吸は吐くことが大事」という偏った考え方です.
それはあくまでもリラクセーションの場合限定であり,活性化させたい場合は息を吸うことで,交感神経の活性化からイキイキさせることができます.
そもそも酸素とガスの交換という呼吸活動の面から考えても,吐く方が大事とはならないですよね.
さらに伝統的ヨガの哲学を学んでいれば,呼吸という活動は,息を吸うことで空気中のプラーナ(気)を体内に満たし,心身の健康につなげるという考えがあり,吸うことを軽視しないはずです.
実際,肺いっぱいに酸素を満たす完全呼吸法というものもあります.
息を吐くことを重視した概念は,禅文化からきていると考えられますが,
禅の技術自体は,インド,中国から日本に入ってくる段階で,かなりのものが失伝してしまっていると,私は思っています.
もちろん,日本では独自の禅文化として花開いたとは思いますが,それは禅自体の技術向上ではなく,
その精神性が,能や武道などの精神性と結びつき「芸道」という日本独自の文化の開花といえます.
心身鍛錬に関する技術に関しては,伝統的ヨガや,中国の仙道を超えることはないと思っています.
日本独自の肚(はら)文化も,失伝からの独自解釈路線といったところでしょう.
………
鼻呼吸がよくて口呼吸が悪い,胸式呼吸は良くないというのも少し謎で,ヨガには口呼吸も胸式呼吸もたくさんあります.
実際に精神性,生理学的な変化に大きく関与するのは,呼吸の長さ,息を吸う吐くの比率,と呼吸のリズム,速さであり,口や鼻による違い,腹や胸による違いではありません.
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献本をいただいていたのに気づかず,告知が遅れてしまいました.
現在,発売中のビリヤード雑誌『CUE’S(キューズ)』2022年3月号の誌面企画にて,渡辺剛史プロの脳波と気分測定を行わせていただきました.
身体活動と精神活動が伴うビリヤード競技が心身に対してどのような影響を与えるのか?
というテーマに対して,精神活動がメインの知恵の輪による作業と比べ検証しました.
脳波の中でも本格的な実験などで使用される事象関連電位と呼ばれる特殊な脳波を測定しました.
通常のアルファ波やベータ波などの自然脳波とは異なり,より注意集中に特化した脳波の指標となります.
同時に反応速度も検証しました.
事象関連電位と呼ばれる脳波のパワー値が高まり,なおかつ反応速度が高まっていれば,脳内の神経活性による反応速度の向上と言えるからです.
またそれぞれの前後における気分の変化も気分指標を使って検証しました.
今回はさらに6ページにわたる渡辺プロとのメンタル対談も非常に興味深いものとなっています.
あまり目にすることができない本格的な内容となっていますので,どうぞお近くの書店かネットにてお買い求めください.
ビリヤード専門誌『CUE’S(キューズ)』2022年3月号にて,ビリヤード前後における脳波を中心とした心身の変化に関する記事が掲載されています.
年末年始の営業時間は以下の通りになります.
12/27~1/4までお休みさせていただき,1/5から通常営業となります.
何卒宜しくお願い致します.
実力のある者が
「負けてもいいから,おもいきってプレイしよう!」
と真に思って試合に挑んだ場合,
実力が下の者が勝つのはかなり厳しくなります.
自分より格上の選手の場合,心技体において,特に「技」,次に「体」においては勝つことは難しく,
格下の選手が勝つには,「心」の部分から揺さぶりをかけ,プレッシャーをかけ,「体」に影響を与え,最終的に「技」に影響を及ぼす必要があります.
心の状態は身体の動きに影響を与え,動きが悪ければ,本来の技を発揮することは不可能だからです.
もし「格下の選手に負けることは恥だ…,みっともない…」というメンタリティで試合に挑めば,たちまち負けられないプレッシャーに襲われ,
過去の苦い体験(トラウマ記憶)がフラッシュバックされ,不安の働きに大きく関与する脳の「扁桃体」が活性化し,
交感神経系が賦活,ストレス反応のループが始まってしまいます.
「負けたらどうしょう…」という未来に意識が向いた結果,目の前のプレイに集中している状態(マインドフルネス状態)ではなく,心ここにあらずの状態になってしまいます.
ただ,結果を意識せず,プレイのみに集中するという行為は,本番でいきなり行うことは困難です.
つまり,トレーニングが必要という事です.
普段からライバルや格下の仲間たちと積極的にスパーリングなどの試合形式に近い練習をし,
その時に「負けてもいいから自分がやりたいようにプレイをしよう!」と真に思えればOKです.
そこには,不安もプレッシャーも現れてきません.
逆に真に思えていない場合は,心拍数が上昇し,不安感が襲ってくるでしょう(何となく不快な感覚).
絶対に負けたくないというのなら,競技はまず行えなくなります.
それは,将棋でいえば,駒を一切動かさない状態です.
絶対に負けませんが,逆に勝つこともできません.
これは,ビジネスにもいえるのかもしれませんが,
何かをするという事は失敗はつきものですし,失敗を恐れて何も行動しなければ,何も開けてこないということです.
守りはいつか破られます.
「負けてもいいから思いきってやろう!」という精神状態は,ポジティブな状態ですので,
見た目は変わらなくとも,心では攻めている状態といえます.
「攻撃は最大の防御」とは,人の精神状態にも当てはまるのです.
私は5年程前から勝ち負けを意識しない方が日本人アスリートのパフォーマンスは向上するという考えを提唱してきました.
今でも十分に正しいと思っていますし,ほぼ間違いない現象だと確信するまでに至りました.
その当時は,金メダルを取っている自分の姿をイメージする,目標を声に出して宣言する,絶対勝つんだという気持ちが大事だ,という時代でした.
ただ,多くの日本人アスリートの試合後のインタビューを聞いていると,
「勝ち急いでしまった」「メダルが頭に浮かんで緊張した」「日本の代表として負けられない」「応援してくれる人やスポンサーの為にも勝ちたい」といったワードが並び
「勝ちたい」という気持ちの裏側の気持ち,つまり「負けられない」という心理状態で覆いつくされているように感じたのです.
これは「負けたらどうしよう…」という心理状態で,とてもネガティブ(消極的)な状態です.
ここで,勝ち負けを放棄すれば,まず肩の荷が下ります.
そのままだと少し競技をする上では,エネルギー(積極性)に欠けてしまうので,
「思いっきり楽しもう!」「よし頑張るぞ!」「今まで練習してきたことを試合で思いっきり試したい!」「(過度な勝ち負けを放棄した状態で)勝ちにいくぞ!」
ニュアンス的には非常に相反することを書いているのですが,
この勝敗を放棄した状態で「勝ちにいくぞ!」という状態は理想的でポジティブで非常に積極的な心理状態です.
そこには,負けたくない,負けられないという後ろ向きな気持ちはありません.
守ってなんとか勝利を死守するという相手のミス待ちの状態ではなく,積極的に自ら勝利を手繰り寄せてくるという状態です.
こうしたメンタルのトレーニングは,普段の練習から可能です.
例えば,後輩や同じチーム内のライバルなど,自分が実力的に少し上で,負けられないような立場の場合に上記の勝敗を放棄した状態で「勝ちにいくぞ!」という状態を意識してみるだけで,
ネガティブな負けられないというネガティブ要因は消えていくと思います.
「この人とは対戦したくないな…できれば避けたいな…」と思っている状態では,既に心がネガティブ状態となり,身体はその心理状態に引きつられ,守りに徹し,攻め時に攻められなくなり,
エネルギーレベル(積極性)の高い相手が勝つことはほぼ目に見えています.
勝ち負けを意識しないだけで,緊張はかなり取れるのですが,競技スポーツはヨガや仏教などの精神修業ではありません.
ヨガのように心がニュートラルな状態となり,落ち着き過ぎてしまっては,少し積極性に欠けてしまいます.
イメージはクールな興奮状態とでもいいましょうか?
これは,もしかしたら脳内ホルモンのセロトニンの働きなのかもしれません.
日本人はこのホルモンの働き(受容体の機能)が欧米人に比べ,少し弱いと推測されているので,
「負けられない」というノルアドレナリンの分泌を促すような思考を抑え込むことで,セロトニンの働きが前面に出てくることが期待されます.
どうぞ一度お試しください.
「反応力」はどのスポーツ競技においても重要な要素であることは間違いありません.
ただ,スポーツで必要とされる反応力とは,1)素早く反応する能力と,2)素早く反応しない能力の2つになります.
どういうことかと言いますと,
通常,人の場合,視覚にまず情報が入ってきて,次にこの対象物に対して反応すべきか?否か?の選択が脳内で起こります.
野球で例えると,ストライクには反応してバットを振り,ボールには反応せずしっかりバットを振るのを抑えなければいけません.
こうした行動の促進と抑制は共に同じ前頭全皮質で行われている為,マシーンとは異なり,これらの作業は人間はとても苦労します.
ですので,ただ光った場所を触る動体視力トレーニングでは,全てのものに対して反応するトレーニング(全てストライク)となり,あまりスポーツにおいては実践的とはいえません.
赤い光には反応し,青い光には反応しないでくださいという事前アナウンスがあるだけで,反応速度は格段に落ちます.
それは既述しましたように,まずは視覚に入った対象物を選択するプロセスが前段階として入ってくるからです.
ですので,本格的な反応速度となると,
①ストライクか?ボールか?
②ストライクだ!
③ストライクだからバットを振ろう!
④実際にバットを振る動作
という一連のプロセス時間をいいます.
ちなみに③から④に移る過程で0.2秒かかります.
実際の野球の場合,ピッチャーの手からボールが離れ,バッターベースまで届くのに
ストレートなら約0.4秒,変化球なら約0.6秒と言われています.
つまり,脳内処理の関係でストレートだと思ってからバットを振りを完了するまでには約0.2秒しか時間が残されていないという事になります.
当然,目では追えません.
そのピッチャーのクセや雰囲気,配球ペース,状況などで多角的に判断する必要があります.
イチロー選手が引退する前年頃の成績不振時に「身体が反応してボール球でも手を出してしまうようになった」というようなことをおしゃっていましたが,
これは反応速度が上がったという良いイメージに聞こえますが,
実際は,反応してはいけない,つまり脳の抑制の部分の選択にミスが出始めたことを表しています.
将棋などでも経験の長い棋士よりも若い世代が強いのは,似た様な選択と集中の問題が少なからずあると思っています.
どうしても,集中,選択,反応,に関しては加齢の影響を受けてしまいます.
しかし,昔日の剣豪の話などを読んでいると,明らかにそうした能力以外の所(経験的に得られる何物か)で補っているように感じます.
脳内のシナプスは,その神経回路を使っていれば,どんどん枝分かれしていきます.
経験によるその枝の数の多さや,あるいはプロセスを素早く踏むための回路に関してはどんどん簡便化されていくことで,若い世代とはまた違った脳力があると私自身は信じてやみません.
⇒ 科学技術が発達した現在では,専用機器を活用した脳トレーニングにより,こうした脳内プロセスを向上させることが科学的に可能となってきました.
緊急事態宣言の発出により,宣言解除まで当分の間,平日の閉館時間を21時から20時に変更をさせていただきます.
(土日に関しては,営業時間のご変更はございません)
また,御来訪時には,手へのアルコール消毒,及びマスクの常時着用をお願い致します.
何卒ご理解,ご協力の程,宜しくお願い致します. 辻良史
年末年始の影響時間は以下のようになります.
12/28~1/4までお休みさせていただき,1/5から通常営業となります.
明けまして,おめでとうございます.
昨年はコロナに始まり,コロナに終わるという大変な年となりました.
本年が人類にとって新たな希望が見い出せる年となれば幸いです.
本年も何卒宜しくお願い致します. 辻良史